初恋の呪縛〜もしもあの時、キスしていたら〜
「ごめん。俺、お前に何にもしてやれない」


 都築もわたしのことを好きだと思ってくれていたのだ。

 はじめの驚きや戸惑いが収まり、そのことがようやく心に染みわたった。

「都築」
 わたしは彼の肩に手を置いた。

「うん?」
 都築は顔を上げて、わたしに視線を向けた。

「都築はユキちゃんと結ばれる運命だったんだよ」
「久保……」

「逆に言えば、わたしたちはどうしたってうまくいかない運命なんだろうね。だから、都築が責任を感じる必要ないと思う」

 わたしは勢いよくベンチから立ち上がった。

「ユキちゃんを幸せにする責任はあるけどね」
「……そう、だな」

 わたしは都築に向かって手を伸ばした。

「話しづらいこと言わせちゃってごめん。でも、これからも変わらず友達でいてよね」
 都築は坐ったまま、わたしの手を取る。

「当たり前だろ。バカなこと言うなって」

 彼はわたしの手を放し、立ち上がった。

「そろそろ行かなきゃ。千隼さん、待ってるから」

「ああ」
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