可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる
「・・・っ・・・っっ」
ユンス12体くらいだったら1人でも余裕で倒せるはずで。
いつもなら余裕で倒せる。
なのに・・・
「お前ら・・・!!
知能が高過ぎだろ・・・!!」
7体殺し、残りは5体。
俺の動きを学習しているような戦い方までし始め、更にはその5体で連携を取っている。
致命傷にはなっていないけれど、俺の身体にもユンスの長くて太い腕で切り付けられた傷が増えていく。
遠くでエリーが威嚇している声が聞こえるけれど、威嚇しているだけで。
「エリー!!!
瞬間移動が出来るんだからお前も戦えよ!!!
皇子である俺の魔獣なんだろ!!?」
そう叫んでも、エリーはやっぱり威嚇しているだけ。
それには大笑いをしながらもユンスを1体倒し、また1体倒し・・・
残り、3体。
荒い呼吸を繰り返しながら3体のユンスと向き合う。
ユンスは3体とも王都を目指す様子もなく、俺の殺意が強いからか、それとも俺がここにいる人間の中で1番強いからか、俺の前からいなくならない。
やっばり俺は魔獣からはモテる。
そんなことを考えながら、また伸びてきた髪の毛が風でなびいていくのを感じながら剣を構えた。
俺のこの黒い髪の毛を切る時、ルルは怖くなかったのかな・・・。
戦いの最中にそんなことまで考えてしまい、痺れるように震えてくる両手や足の筋肉を実感する。
俺が1体を攻撃しようとする度に他のユンスが俺の隙を狙ってきて、俺の身体も神経も磨り減り続けていた。
まだ10歳の自分がどうしようもなく嫌だった。
チチもルルも俺が10歳なことが良いモノのように喋っていたけれど、俺はもっとルルと近い歳が良かった。
そしたらもっと大きな背中を持てていて、何かが変わっていたかもしれないのに。
少しだけでも、ルルが見る俺の“何か”が変わっていたかもしれないのに。
そんな気持ちもユンスにぶつけながら、2体のユンスを倒した。
「ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」
残り1体・・・。
他の個体に指揮のようなものを取っていたユンス。
12体のユンスの中でも一回りは大きく、腕の長さも太さも今まで見たユンスの中で1番だった。
「お前ら、何なんだよ・・・。
何で王都を目指すんだよ・・・。」
第1騎士団が“死の森”の番人になる前から魔獣は王都を目指していたと記録されている。
そして第1騎士団が“死の森”の番人になってからも魔獣達のその行動は変わらなかったらしい。
今よりも騎士団の統制が取れていなかった時代は何度も王都へ魔獣を通してしまう事態があったらしい。
チチから教わったそのことを思い出しながら、剣の柄を握る右手に何も力が入らないことに気付く。
右手の上にほぼ力が入っていない左手も重ね、傷1つない、疲れている様子もないユンスと向き合う。
「村には入れさせない・・・。
こんなに知能も高く身体も大きな魔獣を絶対に入れさせない・・・。
俺は厄災ではない・・・。
俺は厄災ではないはずだから・・・」
俺はルルと結婚出来る・・・。
きっと、結婚出来る・・・。
王宮へは行かずにずっとインソルドの村にいて、ルルに俺のことを男として愛して貰って、そしたら子作りだって出来る・・・。
「俺はインソルドで1番強い男になる・・・。
必ずなるから・・・。
それを証明して、俺はインソルドにずっといる・・・。」
そう呟き、感覚のなくなってきている両足を動かし、力が入らないはずの両手を強く強く握り、剣を振り上げた。
ユンス12体くらいだったら1人でも余裕で倒せるはずで。
いつもなら余裕で倒せる。
なのに・・・
「お前ら・・・!!
知能が高過ぎだろ・・・!!」
7体殺し、残りは5体。
俺の動きを学習しているような戦い方までし始め、更にはその5体で連携を取っている。
致命傷にはなっていないけれど、俺の身体にもユンスの長くて太い腕で切り付けられた傷が増えていく。
遠くでエリーが威嚇している声が聞こえるけれど、威嚇しているだけで。
「エリー!!!
瞬間移動が出来るんだからお前も戦えよ!!!
皇子である俺の魔獣なんだろ!!?」
そう叫んでも、エリーはやっぱり威嚇しているだけ。
それには大笑いをしながらもユンスを1体倒し、また1体倒し・・・
残り、3体。
荒い呼吸を繰り返しながら3体のユンスと向き合う。
ユンスは3体とも王都を目指す様子もなく、俺の殺意が強いからか、それとも俺がここにいる人間の中で1番強いからか、俺の前からいなくならない。
やっばり俺は魔獣からはモテる。
そんなことを考えながら、また伸びてきた髪の毛が風でなびいていくのを感じながら剣を構えた。
俺のこの黒い髪の毛を切る時、ルルは怖くなかったのかな・・・。
戦いの最中にそんなことまで考えてしまい、痺れるように震えてくる両手や足の筋肉を実感する。
俺が1体を攻撃しようとする度に他のユンスが俺の隙を狙ってきて、俺の身体も神経も磨り減り続けていた。
まだ10歳の自分がどうしようもなく嫌だった。
チチもルルも俺が10歳なことが良いモノのように喋っていたけれど、俺はもっとルルと近い歳が良かった。
そしたらもっと大きな背中を持てていて、何かが変わっていたかもしれないのに。
少しだけでも、ルルが見る俺の“何か”が変わっていたかもしれないのに。
そんな気持ちもユンスにぶつけながら、2体のユンスを倒した。
「ハァッ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」
残り1体・・・。
他の個体に指揮のようなものを取っていたユンス。
12体のユンスの中でも一回りは大きく、腕の長さも太さも今まで見たユンスの中で1番だった。
「お前ら、何なんだよ・・・。
何で王都を目指すんだよ・・・。」
第1騎士団が“死の森”の番人になる前から魔獣は王都を目指していたと記録されている。
そして第1騎士団が“死の森”の番人になってからも魔獣達のその行動は変わらなかったらしい。
今よりも騎士団の統制が取れていなかった時代は何度も王都へ魔獣を通してしまう事態があったらしい。
チチから教わったそのことを思い出しながら、剣の柄を握る右手に何も力が入らないことに気付く。
右手の上にほぼ力が入っていない左手も重ね、傷1つない、疲れている様子もないユンスと向き合う。
「村には入れさせない・・・。
こんなに知能も高く身体も大きな魔獣を絶対に入れさせない・・・。
俺は厄災ではない・・・。
俺は厄災ではないはずだから・・・」
俺はルルと結婚出来る・・・。
きっと、結婚出来る・・・。
王宮へは行かずにずっとインソルドの村にいて、ルルに俺のことを男として愛して貰って、そしたら子作りだって出来る・・・。
「俺はインソルドで1番強い男になる・・・。
必ずなるから・・・。
それを証明して、俺はインソルドにずっといる・・・。」
そう呟き、感覚のなくなってきている両足を動かし、力が入らないはずの両手を強く強く握り、剣を振り上げた。