可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる
「ルル!!」



そしてそのグースの隣にはもう1体。
“チチ”のグースよりは少し小さなグースに乗っている男が私を呼んだ。
その男を見て、私は思いっきり笑った。



「ヨーク!!!」



「グースを連れてきたぞ!!
空の魔獣に地上から攻撃するには飛び具がなければ無理だからな!!」



「ありがとう!!そっちは!?」



「クレハ以外の魔獣は今のところ確認されてない!!
クレハはインソルドもインラドルもアデルの砦も無視して王都を目指してた!!」



「1年前と同じだね。」



そう答えてから“チチ”のグースに飛び乗った。



「ヨーク、一緒に来て!!
王都にも王族の血が流れてる人間達がいる!!!」



私がそう叫んだ時、黒い空を飛んでいたクレハが地上に向かって降りていく光景が目に入った。



「上は大丈夫なのかよ!?
あの騎士団達は強いのか!?
魔獣と戦えるのかよ!?」



ヨークが人差し指で空を差しながら聞いてくるので、それには大笑いしながら頷いた。



「魔獣との戦い方も長年訓練されてる!!
10歳のソソの話をちゃんと聞ける耳を持つ人間達だったらしい!!
それに・・・」



クレハが集中して集まっている光景を見上げながら人差し指でそこを指差した。



「第2騎士団の団長はソソなの!!!
それに第3皇太子って、ソソだったの!!!」



大笑いしながらヨークに言うとヨークは驚いた顔で私のことを見て、それから大笑いをした。



2人で大笑いしながら足でグースの身体に力を入れようとしたら・・・



「ルル伯爵令嬢・・・!!!」



カルベルがグースに乗る私を驚いた顔で見上げている。
白い髪の色を持つカルベルという名前の男の子に私は口を開いた。



「私は聖女、カルティーヌ!!
カルベルにソソと名乗ったステル殿下の妻!!
ここで没落貴族と言われているマフィオス家の長女でインソルドの出身!!」



グースの翼の音よりも大きな声で叫び、目も口も大きく開けているカルベルに更に続ける。



「王宮の人間達に伝えて動かして!!!
“死の森”の番人、第1騎士団の団長、カルティーヌからの命令だって!!!」







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