可哀想な皇太子殿下と没落ヒヒンソウ聖女は血の刻印で結ばれる
「ハァ・・・ハァ・・・」



クレハにナイフを突き刺した後、地上に倒れたクレハをグースに乗りながら見下ろした。



「あ、ありがとうございます・・・。
貴方は・・・?」



若い女を抱き締めながらグースに背中を向け、その女を守ろうとしていた男が私に聞いてきた。
男をよく見てみると、この前王宮で噂話を私に聞かせてくれた男だった。



若い女も男に抱き締められながら私のことを見上げてきて、この2人が親子なのだと分かる。



「私は聖女、カルティーヌ。」



「聖女・・・様・・・。」



驚いている男の代わりに声を出したのは女の方だった。
輝く瞳で私のことを見上げてきていて、そんな目には思わず笑ってしまう。



「強い女になるんだよ。
男に守られているだけの女ではなく、自分のその両手で何かを守れるくらい、強い女になるんだよ。」



「はい・・・。」



深く頷いた女に笑い返していた時、ヨークがグースに乗って隣に翔てきた。



「ルル!!何体殺った!?」



「たったの24体。」



「俺は19体!!
こいつらの本命は、やっぱり上か。」



ヨークが空を見上げると、いくらか少なくなったクレハの群れと戦っている騎士団達がいる。



そして、ある1つの箇所にクレハが集中している。



「あそこにソソがいるはず。」



「アイツに本当に国王の血が流れているとはな~。
アイツの殺意が強すぎるから寄って行ってるだけではなく?」



「王宮を目指すクレハが1体もいないくらいの殺意は凄いね。」



「あの王宮にはソソ以上の“国王”はいないのか。」



「全ての魔獣は国王を殺す本能があるからね。」



そう答えてからグースの身体に足で力を込めてもう少し浮上した。



「ヨーク、王都をお願い。
そろそろ疲れてくるだろうから行ってくる!!」



「まさかソソと結婚しに行ったとはな!!
ソソって第2皇子じゃなかったのかよ!?」



「第2皇子のはずだよね!?」



「俺は知らねーよ!!
村には王宮の事情はほとんど入れないのが昔からの決まりだからな!!
余計な情報を入れて、民を守る為の“番人”としての役目を果たせないとダメだろ!!」



「それは分かってるけど・・・!!!」



最後にそれだけを叫んでからソソに・・・ステル殿下に向かって空を翔た。
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