婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

 レイモンドはアンドレイに激しい嫌悪を覚えた。あんなに純粋で、一生懸命頑張っている婚約者に対して外道の仕打ち。許されることではないと思った。

 フランソワはため息をついて、

「おまけに婚約者を使って諜報活動をさせて戦争の準備とは……。意外に用意周到ですね」

 アンドレイ・アングラレス王子の評判は良くはないが悪くもなかった。
 特に怜悧などと評されることもなく、並の王族で並の能力、公務は一通りこなすが若者らしくそれなりに遊んでいる――凡庸な、普通の王子だ。
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