婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
「なぁ、オディオ。終わるの遅くないか?」と、同僚の兵士が顔を曇らせて言った。
「だよな……」
わたしも彼に釣られて眉尻を下げる。
今日の作戦は短期決戦だと聞いてたけど、開始からもう30分以上は経っていた。
なにかトラブルでも起こったのかしら?
そのときだった。
――ドンッ!
一瞬、地面から突き上げるような振動がしたと思ったら、うねるような激しい爆発音が聞こえてきた。音が身体にビリビリと伝わって手足に電撃が走ったみたいだった。