婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 わたしが目覚めたことは侍女を通じてスカイヨン伯爵に伝わって、大使館の方々が大勢駆け付けてくれた。
 侯爵家にいた頃は、高熱を出して寝込んでも家族は誰もお見舞いに来てくれなかったから、不思議な感覚だったわ。
 でも……嬉しい。賑やかのって楽しいかも。

 スカイヨン伯爵の話によると、わたしはレイの前で気絶してしまったらしい。
 そして兵士の寮に送られて、ガブリエラさんが伯爵に連絡して、すぐさま除隊手続きを済ませて秘密裏に大使館に運ばれたそうだ。
 それから、丸二日も寝込んでいたんですって。

 意気揚々と潜入捜査に入ったのに、こんな無様な結果になってしまって……更に周りにも迷惑を掛けてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
 伯爵とガブリエラさんにはひたすら平身低頭で謝ったわ。
 二人とも「気にしないでいい」って言ってくれたけど、わたしは慚愧に堪えなかった。なんという失態かしら……。
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