婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

 あと、一番迷惑を掛けたレイにも謝りたいのだけれど、もう見習い兵士の訓練場には顔を出していないみたいだし、王太子殿下直属の騎士団には平民のオディオがおいそれと近寄れないし……困ったわ。

 彼自身は高位貴族らしいから国内のどこかのパーティーで出会える可能性はあるけど、そのときに正体を明かすわけにはいかないし、もう一生オディオとしては彼に会えないのかな……。
 そう考えると、少し悲しくなった。



 そして…………、


 考えたくもないけど、一番の懸念はアンドレイ様の違法競売と…………ピンクダイヤの蝶々のブローチ。
 アンドレイ様が犯罪に関わっていること、そしてシモーヌ・ナージャ子爵令嬢に貴重な品を贈っていたこと……。この二つの事実は、わたしの心を抉るように深く深く苦しめた。

 本当……なのよね…………?
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