婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 今日のドレスはアンドレイ様の瞳の色と同じライトブルーで、たっぷりのギャザーとリボンがあしらわれたものだった。
 彼はシンプルなものより華やかなものが好きだった。ただの直線より流線型を好み、植物モチーフや女性のドレスもゴテゴテと飾り付けられた華美なデザインのものを好んだ。そして可愛いものも。

 わたしは自分でドレスを決めたことが一度もない。気が付けば、お母様や侯爵家の者たちがアンドレイ様が好むデザインのドレスを用意していたのだ。
 それが普通だと思っていたし、わたしにとって当たり前のことだったから、自身が似合うドレスなんてこれまで考えたこともなかったわ。
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