婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

「そうね」

 わたしは苦笑いをする。ヴェルは人間の言葉を覚える鳥なのだけれど、いつの間にかこればかりを喋るようになっていた。

「お前の取り柄は侯爵令嬢という身分だけ」

 幼い頃から、お父様やお母様……そしてアンドレイ様から、ため息混じりに何度も何度も言われた言葉。
 わたしは代々国の宰相を務めるジャニーヌ侯爵家の令嬢として生まれた。そのときからアンドレイ様と婚約が決まっていて、そのときからお妃教育が始まったわ。
< 15 / 303 >

この作品をシェア

pagetop