婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 ゴクリと唾を飲み込んだ。ノックをしようとする手が覚えずに震えた。

 ここはお金を払えばなんでも教えてくれるという情報屋だ。大陸中に支部があって、情報の正確さと確固たる匿名性で、とても信頼されている個人機関らしい。

 わたしはアンドレイ様の違法競売の真相をここで調べて貰うことにした。
 はじめはレイにお願いしようかと迷ったけど……正体も知られたことだし……国際問題になりかねない扱いづらい案件だと思ったので、諦めてここに頼むことにしたのだ。

 もともと、ここの存在はスカイヨン伯爵から「将来、諜報機関を統括するのなら一度彼らと接触しておいても良いでしょう」と、教えてもらっていたのだ。
 まさか、こんなことに利用することになるなんてね……。
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