婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

「えっ、と……ローラントはアングラレスに侵略戦争を仕掛けるつもりなんじゃないの?」

「そんなことをしてうちになんのメリットが……いや、戦争計画を立てていたのはアンドレイ王子のほうなんじゃないのか?」

「えぇっ!?」

 わたしは目をぱちくりさせた。アンドレイ様が戦争計画? 彼からはローラントのほうが戦を始める予定だ、って…………。

「だって、君が調査していたのは鉱山と軍隊だろう? それは我が国の戦力を調べて、鉱山に攻め込んで来るつもりなのでは……」

 二人して押し黙った。気まずい空気が流れる。
 わたしたちはお互いに大きな勘違い……いえ、情報の読み間違いをしていたのだ。

「…………」
「…………」

 少しの沈黙のあと、思案顔をしていたレイが口火を切った。

「そういうことか……」

「どういうこと?」
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