婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


◇ ◇ ◇



やぁ、オディール嬢
元気にしてるかい?
大使館経由で君にお茶会の招待状を出したから、是非王宮に遊びに来てくれ

レイモンドより

追伸 今度この鳥の名前を教えてくれないか



◇ ◇ ◇




「なっ……なっ……!?」

 虚を衝かれたわたしは仰天して、手元からハラリと手紙を落とした。
 まさか、まさか……!
 ヴェルと遊んでくださっていた親切な方が――レイだったなんて!

 またやられたわ!


「オディール・ジャニーヌ ハ スゴクカワイイコ ソレダケガトリエサ」

「えぇっ!?」

 今度はヴェルが新たに覚えた言葉に驚愕して目を見張る。みるみる頬が熱くなった。
 か、可愛い子って……。わたし、そんなのじゃないわ!

 そのとき、わたしはある事実に気付く。途端に顔の熱気が最高潮になった。

 ちょっと待って、
 もしかして、ヴェルがローラント王国に来て覚えた新しい言葉って、全部――、

 レイ、だったの……?

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