婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 本日のお茶会は王宮にある王妃殿下の庭園の一角で執り行われるようだ。
 奥に王太子殿下の席が設けてあって、手前には令嬢たちが座る円卓が並べられてあった。全てのテーブルに王太子殿下が順繰りに回るそうだ。

 王太子も大変よね……って、たしかレイは殿方が好きなのよね?
 王族の責務とは言え、男色なのに好きでもない異性の令嬢と結婚させられるのはやっぱり同情するわ。正妃を娶ったら、愛妾として件の若い騎士を囲うのかしら?
 彼も本当に愛する人と結ばれるといいわね……。

 そのとき、にわかに胸にズキリと痛みが走った。なんだか棘が刺さったような鋭利な痛みだ。
 ……なにかの病気かしら? 最近ずっと悩んでいるからストレス? 帰ったら医者に診てもらわなくちゃ。

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