婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
31 令嬢嫌いの王子様①
「お嬢様っ!」
「オディール! 無事で良かったわぁっ!!」
気が付くと、見知らぬシャンデリアが静かにわたしを見下ろしていた。右手側にはガブリエラさんとアンナが心配そうな顔をしてこちらを見つめている。
「ここ、は……?」
まだ朦朧とした意識の中で、視線だけを二人に送る。
「ここは王宮の貴賓室よ。あなた、暗殺者に襲われて倒れたの。もうっ、無理しちゃって……」と、ガブリエラさんが涙ぐみながらわたしの頬を撫でた。
「ごめんなさい……王太子殿下のお茶会を駄目にしたらいけないと思って……」
「本当にあなたはっ……なんでいつもそんなに自己犠牲的なのかしら……!」
ガブリエラさんの話によると、あの「異物」は帝国からの刺客だったらしく、わたしは彼に頭を激しく殴られて弾みでテーブルに打ち付けて気を失ったそうだ。
今はもう夕方になっていて、怪我の経過も見たいとのことで今日は王宮に泊まることになったみたい。
お茶会はすぐに解散になったらしい。令嬢たちに怪我はなかったみたいで一安心だわ。
もちろん、標的だった王太子殿下も――、
「そうだわっ……レ――王太子殿下は?」
不透明な意識からはっと我に返る。そう言えば、わたしが気絶をする直前にレイがやって来て先に倒れて……なぜ、怪我もしていない彼が卒倒するのかしら? それに、倒れる直前になにか言っていた気が……。
頭がズキンと痛んだ。駄目だわ、思い出せない。
「オディール! 無事で良かったわぁっ!!」
気が付くと、見知らぬシャンデリアが静かにわたしを見下ろしていた。右手側にはガブリエラさんとアンナが心配そうな顔をしてこちらを見つめている。
「ここ、は……?」
まだ朦朧とした意識の中で、視線だけを二人に送る。
「ここは王宮の貴賓室よ。あなた、暗殺者に襲われて倒れたの。もうっ、無理しちゃって……」と、ガブリエラさんが涙ぐみながらわたしの頬を撫でた。
「ごめんなさい……王太子殿下のお茶会を駄目にしたらいけないと思って……」
「本当にあなたはっ……なんでいつもそんなに自己犠牲的なのかしら……!」
ガブリエラさんの話によると、あの「異物」は帝国からの刺客だったらしく、わたしは彼に頭を激しく殴られて弾みでテーブルに打ち付けて気を失ったそうだ。
今はもう夕方になっていて、怪我の経過も見たいとのことで今日は王宮に泊まることになったみたい。
お茶会はすぐに解散になったらしい。令嬢たちに怪我はなかったみたいで一安心だわ。
もちろん、標的だった王太子殿下も――、
「そうだわっ……レ――王太子殿下は?」
不透明な意識からはっと我に返る。そう言えば、わたしが気絶をする直前にレイがやって来て先に倒れて……なぜ、怪我もしていない彼が卒倒するのかしら? それに、倒れる直前になにか言っていた気が……。
頭がズキンと痛んだ。駄目だわ、思い出せない。