婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜




「初めまして、侯爵令嬢。私が大使のガブリエル・スカイヨンと申します。身位は伯爵です」

「ご機嫌よう、スカイヨン伯爵。わたしがオディール・ジャニーヌですわ。これから宜しくお願いしますね」と、わたしは丁寧にカーテシーをした。

 スカイヨン伯爵は、これからわたしがお世話になるアングラレス王国の大使だ。彼がここの大使館の全てを仕切っている。
 肩までかかったさらりとした青みがかった銀髪に線の細い肉体に玉のような肌で、ちょっと中性的な雰囲気を持っている蠱惑的な殿方だ。

 伯爵は以前はアングラレス王国の王宮図書館で司書として働いていたのだけれど、令嬢や夫人たちからあまりにしつこく言い寄られて仕事にならなくて、辟易して外交官に転向したと聞いている。なるほど、この容姿ならレディが夢中になるのも頷けるわ。
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