婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜



 アンドレイとオディールは政略結婚だ。しかも、アンドレイが生まれた一年後にオディールが誕生したその日から。そこに彼の選択の余地など皆無だった。

 二人が初めて対面したのはアンドレイ6歳、オディール5歳のときだ。
 彼が初めて彼女と会ったときの印象は――顔が可愛くない。

 アンドレイはシモーヌのようなつぶらな瞳におちょぼ口、ふわふわして可愛らしい妖精のような雰囲気の容姿が好みだった。
 対してオディールは切れ長の瞳に目鼻立ちもすっきりとして、男前とも形容できるような美人だ。
 もう、その時点で彼の婚約者に対する興味は薄れてしまっていた。
< 215 / 303 >

この作品をシェア

pagetop