婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
彼女のなにげない発言にカフェ中が静まり返った。そして一拍して、わっと称賛の嵐に包まれる。彼女の言葉は的を射ていた。男たちは自分たちの議論がたった一言で片付けられたことに興奮していた。
同じく、アンドレイも彼女の何の気なしに放った言葉に驚きを隠せなかった。
なんだ、この変な女は。女のくせしてなかなか鋭い意見を言えるじゃないか。しかも、よく見るとなんて可憐な……。
彼は急激に隣の席の彼女に興味を抱き、その日はそれからずっと彼女と会話をした。二人はすぐに意気投合して、個人的に会うようになった。