婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 レイモンドがオディールへの気持ちに気付いてから、彼はこれまで抑えていた感情を爆発させるように彼女に夢中になっていた。
 頭の中には常にオディールがいて、今の彼の生きる糧と言っても過言ではなかった。

 フランソワは令嬢嫌いから一歩進んだ主君のことを嬉しく思いながらも、「コイツ、面倒くせぇな……」と、辟易していた。女性は恋をすると美しくなると言うが、男が恋をすると……愚者になるようだ。
 これから起きる一騒動を考えると、彼の心労は計り知れなかった。
< 228 / 303 >

この作品をシェア

pagetop