婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 屋敷に戻ったらまずは両親への挨拶だ。長旅で疲れているので本音はすぐにベッドに倒れ込みたいけど、執事に促されて渋々お父様の執務室へ向かった。

 扉の前で一呼吸をしてノックをする。

 これまでは、扉の向こうへ進むのが物凄く億劫だった。
 お父様からは王子の婚約者に適切な言動を取っているか常に監視されていて、お母様からも殿下に相応しい令嬢であれといつも小言を言われていたわ。

 それもこれも全て出来ない自分が悪いのだと思っていたけど、もう自身を卑下するのは止めようと思う。
「君はもっと堂々としていていいんだ」って、レイが教えてくれたから。

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