婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 わたしは軽い足取りで王子の執務室を辞去した。彼もわざとらしい爽やかな笑顔で見送ってくれる。

 邪魔者は早く退散するとしましょう。これからナージャ子爵令嬢との楽しい逢瀬が始まるのよね。きっと二人でわたしについて面白おかしく話しているのでしょうね。

 ……ま、もうどうでもいいことだわ。


 有り難い王子の委任状は手に入った。
 あとは、これを利用して王太子殿下の歓待の準備を進めるだけね。王子の断罪ショーという最高の見世物を。
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