婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
ほくほく顔で貸金庫を去ったあとは王宮へとんぼ返りをして、いざ宝物庫だ。アンドレイ様は宝物庫自体の存在を隠したいのか、それは王宮の離れにあって警備もいないのですんなりと侵入できた。
レイから渡された盗品のリストと実物を照らし合わせる。絵画、彫刻作品、ランプ、指輪、首飾り……二十点以上にのぼる宝物を一点一点確認する。
あまりの量によくもまぁこんなに蒐集したものね、と呆れ返った。アンドレイ様の芸術に対する情熱は見事なものだわ。どれも国宝級の貴重な品で、持ち運ぶのに苦労しそうね。