婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
わたしたち外交官は基本的には大使館に住んでいる。大使館は仕事の場であって生活の場でもあるのだ。
もちろん公私混同はいけないけど、なるべく母国にいる状態と変わらないようにと大使館内は配慮されていた。
それに、母国にいるときより結構自由なのよね。
わたしは侯爵令嬢ということでローラント人の新しい侍女も付けてもらったのだけれど、年が近くて気さくな子だから話しやすくて、もしかすると本国にいるときより気楽に過ごせているかもしれない。
侯爵家の侍女たちは一流のプロフェッショナルで仕事は素晴らしかったのだけれど、その反面、わたし自身も彼らの仕事に応えようと気が抜けなかったから。お父様たちの目もあるし。