婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
41 パーティーが始まる
王宮で一番の広さを持つピレネー城の間で、パーティーは始まった。
夜空を流れる星のような光を放つシャンデリア、まるで絵画が飛び出したみたいな色とりどりの料理とお菓子が並んで、会場全体を柔らかく包み込むような弦楽器の音……どれも建国記念に相応しい華美だけど品格のある様子だった。
「オディール……そのドレスは……?」と、アンドレイ様が目を見張って呟くように言った。
「えぇ、式典では殿下の側近の方と色が重なってしまったので着替えましたの。さすがに王子殿下が直々に指名をされた側近が罰せられるのは可哀想ですわ」
わたしはわざとらしい憐憫の視線を彼に向ける。
「そ、そうか……」と、アンドレイ様は少したじろぐ様子を見せた。
ナージャ子爵令嬢の罪は重い。下の者が上の者を挑発するような行為はご法度だ。
礼儀を知らない令嬢だと貴族社会では爪弾きにされる可能性が高いし、仮にわたしがアンドレイ様と婚姻を結んで既に王族になっていたら、それだけでは済まされなかっただろう。
夜空を流れる星のような光を放つシャンデリア、まるで絵画が飛び出したみたいな色とりどりの料理とお菓子が並んで、会場全体を柔らかく包み込むような弦楽器の音……どれも建国記念に相応しい華美だけど品格のある様子だった。
「オディール……そのドレスは……?」と、アンドレイ様が目を見張って呟くように言った。
「えぇ、式典では殿下の側近の方と色が重なってしまったので着替えましたの。さすがに王子殿下が直々に指名をされた側近が罰せられるのは可哀想ですわ」
わたしはわざとらしい憐憫の視線を彼に向ける。
「そ、そうか……」と、アンドレイ様は少したじろぐ様子を見せた。
ナージャ子爵令嬢の罪は重い。下の者が上の者を挑発するような行為はご法度だ。
礼儀を知らない令嬢だと貴族社会では爪弾きにされる可能性が高いし、仮にわたしがアンドレイ様と婚姻を結んで既に王族になっていたら、それだけでは済まされなかっただろう。