婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
貴族たちの挨拶が終わったらいよいよ本格的にパーティーの始まりだ。
まずはファーストダンス。今日は隣国の王太子が来賓なので、彼が最初のダンスを務めることとなった。
そのパートナーは……わたし、オディール・ジャニーヌ侯爵令嬢だ。
国の上層部の話し合いの結果、王太子のカウンターパートナーとして一番相応しいのはジャニーヌ侯爵令嬢だろうと満場一致で決定したのだ。
実は……今夜のドレスはレイと踊るために誂えたものだ。
本音を言うと彼の瞳の色のドレスを着たかったけど、まだ立場というものがあるから。軽率な行動をしてアンドレイ様たちと同じになってしまうのは嫌だ。貴族としてけじめはしっかりと付けたい。