婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

 王子の衝撃的な言葉に貴族たちに動揺が走った。
 驚愕の声や侯爵令嬢を非難する声、または戸惑いの囁きが四方八方から聞こえてくる。
 王子の婚約者の不貞、おまけに戦争計画だ。彼らが混乱するのも無理もないだろう。
 
 ふと両親のほうを見ると、お父様は渋面を作り、お母様は真っ青な顔をして今にも倒れそうだった。
 一方、国王陛下は無表情を保って、この断罪劇の成り行きを見守っている様子だった。

 アンドレイ様は今度は別の書簡を側近に出させて、水を得た魚のように高々と演説を続ける。

「まだ証拠はある! これはローラント王国のダイヤモンド鉱山の詳細な地図と資料だ。国家機密級のな! こちらも王太子殿下からの情報提供である! ジャニーヌ家はまずは近場の鉱山から攻め込もうと目論んでいたようだ。貴重なダイヤモンド資源欲しさに、なんと欲深い!」
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