婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
彼の陶酔したような大仰な演技にわたしは白けたが、貴族たちには効いているようだ。侯爵令嬢に対する敵意のこもった声が一気に大きくなった。
アンドレイ様は不貞の件で責めて来ると思ったけど、まさか不貞と戦争との両攻撃で来るとは驚いたわ。
たしかに、こちらのほうがローラント王国に対しても深いダメージを与えられて、今後の外交も有利になる可能性が高い。それこそ上手くいけば、領土の一部でももぎ取れそうだわ。
でも、言っていることが支離滅裂だとは気付かないのかしら。それに肝心の不貞の証拠がないわ。
……まぁ、成功するといいわね。