婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
ここでは最低限の人権が守られている。
わたしたちは起床したら朝日を浴びながら軽く体を動かす。そして栄養のある食事。更に十分な休息と睡眠。
たしかに常に監視をされているし労働は厳しいことも多いけど、仲間たちと会話をしたり、皆で力を合わせてきつい仕事をやり遂げたり……思った以上に充実した日々を過ごしていた。
でも、昔はもっと粗悪な労働環境だったらしい。
それをレイモンド王子がまだ成人にも満たない頃に「このような状況下では作業効率が悪い」と大幅に改革したそうだ。
その結果、死者や病人が著しく減って、産出量も増加したみたい。
だからか鉱山の人々は王太子のことをとても敬慕していた。彼らはよく「陛下も素晴らしいが、王太子殿下の治世も楽しみだ」と口にしていた。