婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
「あなたが噂の新人さんね?」と、ガブリエラさんが沈黙を破った。もうっ、こんな人、相手にしないでいいのに。
「そう。今日からここに来たんだ。名前はレイ。よろしく」
「あたしはガブリエラよ。分からないことがあればなんでも聞いてね。ちなみに、あたしはここでは食事と……ま、お坊ちゃん方にはまだ早いわね」彼女は艶っぽくウインクして「じゃ、あたしは準備があるから。お先」
取り残されたわたしとレイ。
気まずい沈黙を放置したまま、わたしたちは食堂へと向かった。