婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜



「……おい」

「ん?」と、レイは目を丸くして首を傾げた。

「ん、じゃない! なんでオレの隣の席に座るんだよ」

「固いこと言うなよ、親友」

「はあぁぁぁっ!? 誰が親友だ!?」

「料理、冷めるぞ」

「っ……!」

 わたしは彼のペースにこれ以上巻き込まれまいと、無言でスープを啜った。甘い野菜を味わいながらゆっくりと噛み砕く。
 ガブリエラさんの手料理は、今日もすっごく美味しいわね。過酷な労働のあとの空腹に幸せを注いでくれるわ。

「嬉しそうに食べるんだな」

「は……?」
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