婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜

10 ダイヤモンド鉱山④ 〜真夜中の探索者たち〜

 そろ~り、そろり……。


 わたしは今、弱々しい光を放つカンテラを頼りに、誰もいない鉱山内をひたひたと歩いている。

 辛い労働から開放された坑夫たちは睡眠という回復行為に励み、坑道は水を打ったように静まり返っていた。
 時おり響く見張りの足音は、いつ来るか事前にガブリエラさんが調べてくれていたので、わたしはなんなく回避できた。
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