婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 正直、レイと話をするのは楽しかった。

 初対面のときの印象は最悪だったけど……今も腹立つことが多いけど……いつも会話が弾んで退屈をすることなんて全然なかった。こんなに殿方と喋ったのは初めてかもしれない。

 でも……もしかしたら、彼がつまらない自分のレベルに合わせてくれていたのかしら?
 気を遣わせちゃったかしら?
 ――と、ちょっと気掛かりに思うこともある。

 アンドレイ様は婚約者だから、一緒に夜会に出掛けたりお茶会をしたりと二人で過ごす時間は多かったけど、わたしたちの間に楽しい会話なんてほとんどなかった。

 ……それは、わたしのレベルが低いので彼が退屈しちゃうらしい。
 だから、もっと教養を深めて彼を楽しませるようにと頑張ったのだけれど、てんで駄目だった。
< 77 / 303 >

この作品をシェア

pagetop