婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜



 アンドレイ様にはシモーヌ・ナージャ子爵令嬢という懇意にしている令嬢がいる。
 彼女はわたしなんかより頭が良くて、文化・政・戦……更には王都での流行や面白い話もたくさん知っていて、話していて飽きないどころか王子である彼自身も脱帽するような、素晴らしい教養の持ち主だそうだ。
 だから彼女はアンドレイ様の将来の側近候補の一人として、いつも側に控えていた。

 わたしも婚約者として、彼女のようにアンドレイ様をお支えしたかったけど、いかんせん自身のレベルが低すぎて「もっと精進するように」って、いつも怒られていたわ……。

 頑張っても、頑張っても、アンドレイ様の求める基準に届くことはない。
 わたしは本当に「侯爵令嬢、それだけが取り柄」なのね。

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