婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
「できた……!」
レイと一緒に真夜中の探索を始めて約一週間、わたしたちはついにやり遂げた。
ダイヤモンド鉱山の地図が完成したのだ!
「やった……」
じんわりと嬉しさがお腹の底から這い上がって来る。過酷な労働で疲弊した肉体を気合いで起こして、夜な夜な坑道を彷徨った甲斐があったわ。
「良かったな」と、レイが拳を突き出す。わたしも握った拳をコツンとそれに当てた。
「ありがとう。まさか、こんなに早く完成するなんて。しかも、こんなに詳細に! それもこれもオマエのお陰だな」
「いやいや。僕はただ君のサポートをしただけさ。君一人でもかなり細かく作成していたじゃないか」
「そんな……まだまだだよ」と、わたしは肩をすくめた。
きっとアンドレイ様は「遅い」ってお怒りになるでしょうね。報告するのが今からちょっと憂鬱ね……。