婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
「分かりましたわ、アンドレイ様。わたし、この国の民を守るためにも精一杯やらせていただきます」
「頼んだぞ、オディール。王妃になって、俺とともに平和な未来を築き上げよう」
「はいっ」
わたしは意気軒昂にアンドレイ様の執務室を辞去した。
正直言って、彼から婚約破棄になる可能性があると聞かされたときは肝が冷えたけど、わたしに挽回の機会を与えてくださったことは、とっても嬉しかった。
アンドレイ様はいつも婚約者のわたしのために、お世話を焼いてくださる。わたしはそんな彼のために少しでも力になりたいと思う。だって、わたしたちは未来のアングラレス王国の国王と王妃なのだから。
隣国との戦争を阻止して、王妃になる。
そして、アンドレイ様とこの国の未来を輝かしいものに――……!