婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


 アンドレイ様の婚約者になったときから、わたしには厳しいお妃教育が始まった。
 出来て当たり前、出来ないなんて絶対に許されない。アンドレイ様に恥じないように、必死に頑張っても誰も認めてくれなかった。
 だって、それは「当然」のことだったから。

 だから、アンドレイ様からもお父様からも家庭教師たちからも褒められるなんて決してなかったし、むしろ出来なくて叱責されることのほうが多かった。

 ヴェルの言葉に自然と頬が緩む。
 温かい気持ちで胸がいっぱいになった。
 ヴェルは涙を流しているわたしを気遣ってか、コツンと腕にくっついて頬ずりをしてきた。ふわふわした彼の体が心地いい。


 褒められるって、こんなに嬉しいことなのね!
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