婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
「ねぇ、ヴェル。もう一回言って! お願い!」
「オディール・ジャニーヌ ハ マジメデドリョクカ ソレダケガトリエサ」
「っ……!」
嬉しさが大波のように、ますます押し寄せてくる。
わたしが真面目な努力家ですって! 一体、どなたがそう思って下さっているのかしら?
やっぱり、大使館の人たち? わたしのこと、見ていてくれていたのね。
すっごく嬉しい……!
わたしはヴェルをぎゅっと抱き締めて、
「ねぇ、もう一回! もう一回!」
「オディール・ジャニーヌ ハ マジメデドリョクカ ソレダケガトリエサ」
「きゃぁっ! ヴェル、もう一回……お願い!」
「オディール・ジャニーヌ ハ マジメデドリョクカ ソレダケガトリエサ」
「っつつ~~~……!」
いけないわ。嬉しすぎてヘラヘラと顔の筋肉が緩んでしまう。こんな侯爵令嬢にあるまじき姿、誰にも見せられない。
……本当に、頑張ってきて良かった。
「ねぇ、ヴェル。もう一回、ね?」
「オディール・ジャニーヌ ハ コウシャクレイジョウ ソレダケガトリエサ」
「………………そうね」