婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜
そこで、例によってわたしは平民のオディオとなって、ローラント王国の軍隊に潜入することになった。一番下っ端の見習い兵士としてである。
本当は多くの情報を得るためにもっと上の階級のほうが良かったのだけれど、さすがに軍隊経験は皆無なので無理があるだろう――と、スカイヨン伯爵に止められてしまった。
諜報員は目立ってはいけない。
だから、一番自身のスペックに馴染むような場所に潜り込むのが無難なのだそうだ。……ま、兵士として実際に訓練を受けること自体が情報収集になるから、伯爵に従うことにしたわ。