二人でお酒を飲みたいね。
あの洋服屋を覗いてみると尚子は何点かの洋服を持ってレジに並んでいた。 (なかなか可愛いじゃないか。)
支払いを済ませた尚子は大きな袋を抱えて店から出てきた。 「お待たせしました。」
「食事にでも行こうか。」 「そうですねえ。 お腹も空いちゃったし、、、。」
取り敢えずモールを出て、入れそうな店を探す。 この辺りには中華の店も有る。
本場の中国人がやっているらしい。 でも俺はどうも気に入らなくて隣のうどん屋に入っていった。
「麺もいいなあ。 会社の昼はいつも麺なんだけど、、、。」 「うーん、うどんもたまにはいいかな。」
メニューを見ると大盛も揃えてあるらしい。 でもそれはさすがに、、、。
ということで二人揃って月見うどんとおにぎりのセットを頼むことにした。
演歌が静かに流れている。 なんか落ち着く店だ。
(俺も年を取ったなあ。) その隣で尚子も同じことを考えていたらしい。
学生の頃はチェッカーズに憧れて、チェックの服を着込んでいた。 そして似合わないのに藤井文也の真似をした。
「似合わないからやめてくれ。」 周りの連中にはいつも冷たく笑われてたよ。 それでも突っ張ってたっけ。
そうそう、the alfeeが売れた時にはギターも買ってもらった。 あそこまで上手くはならなかったけど。
あの時代はとにかく突っ張って突っ走ってたんだ。 懐かしいもんだね。
うどんを啜りながらおにぎりを齧る。 沢庵も久しぶりだよな。
「高木さんって若い頃はどうだったんですか?」 「どうって?」
「私は聖子ちゃんカットが憧れで、いつも真似してました。 みんなには可愛くないからやめろって言われてましたけどね。」 「みんな、同じようなことをしてたんだね。 俺が好きだった人もそうだった。」
「そうなんだ。 私なんてコンサートをおねだりして年に一回は行かせてもらったけど、ノルマがうるさくて、、、。」
「俺はライブビデオを買ってもらうのがやっとだったなあ。 一度でいいから生で聞きたかった。」
そうだよね。 ちょうどバブル景気が絶好調の時だ。
土地が面白いように売れて、ゴルフの会員権なんてやつにも高値が付いた時代だ。 今じゃあ考えられないな。
でもさあ、90年代に入ると会員券は紙屑になってしまった。
土地もマンションも大暴落して株長者も居なくなった。 とんでもない時代だった。
潰れないはずの銀行や証券会社が倒産して売り払われたんだもんな。
地元でも山一證券の倒産は大激震だった。
30年掛かってやっと景気が戻ってきたんだ。 そこでの事件、、、。
立ち直りを掛けていた会社はどうなるんだろう?
「湿っぽい顔をしてると疫病神が喜んで引っ付いてきますよ。」 「そうだね。」
尚子はおにぎりを食べながらカウンターを見た。 何処かで見たような男が座っている。
「出ましょうか。」 残っていたおにぎりを頬張ると尚子は席を立った。
店を出る時に男の横顔が覗いたが、、、岡島純也だ。
(あいつ、女子社員にぶら下がってうるさいからって解雇されたやつじゃないか。 この辺に居たんだな。)
岡島は確かに優秀な社員だった。 営業部でもトップクラスでいつも社長から褒められていた。
でもそれだったから有頂天になってしまって見掛けた女性社員には次々と声を掛けていたんだ。
いつか、それは社内の噂になり、社長からも呼び出されて何度も忠告された。
それを聞かなかったあいつは取締役からも目を付けられて解雇されたんだ。
その後はどうしているのか分からない。 聞くことも無いだろう。
店を出た尚子は俺にくっ付いて歩いている。 「あの人ね、私には声を掛けなかったのよ。」
「何で?」 「さあねえ、社長の女だって思われてたみたい。」 「社長の女?」
「柳田さんにそう言ったって聞いたわよ。」 「そう思われても無理は無いよ。 社長は尚子ちゃんみたいな女が好きだったからね。」
「そうなの? 嫌だなあ。 あんなのに好かれたくはないわよ。」 彼女は思い切り空き缶を蹴飛ばした。
「でも今だったら何て言うだろうなあ?」 「さあねえ、もてない女だって笑ってるんじゃないの?」
昼下がり、駅前通りに出てきた俺たちはいつものようにタクシーを拾った。
「今日も高木さんの家でのんびりしたいなあ。」 「いいけど、部屋のほうは大丈夫なの?」
「うん。 ご飯も炊いてないし、何もしてないから。」 「そうか。」
部屋の中は荒れ放題。 脱いだ靴下やらシャツが転がっている。 「中年男性の一人暮らしはこれだからなあ、、、。」
苦笑しながら尚子がそれらを拾い集めていく。 拾ってしまうと洗濯機に放り込んで洗剤を入れた。
「なかなかやるねえ。」 「女ですから。」
「ぐ、、、。」 「あら、言っちゃいけなかったかな?」
「俺だからいいけど、他のやつなら張り倒されてるかもよ。」 「高木さんになら張り倒されてもいいわ。」
「えええええええ? 何それ?」 「私ねえ、すごくmみたいなの。 虐められたいのよ。」
「どういうこと?」 「そうねえ、エ、ッ、チの時も思いっきり攻められたいなって思っちゃったのよ。」
「変なの。」 「高木さんはどちらかというと、、、ドがいっぱい付いてるsよねえ? 攻めたいほうでしょう?」
「それは分かんないよ 自分じゃ。」 「奥さんももっと攻められたかったんじゃないのかなあ? 痺れるくらいにね。」
「そんなに攻めたら、、、。」 「大丈夫。 女って意外と平気なのよ。」
そうかもしれない。 出産する時、恥骨は離れて開き、骨盤の筋肉も引き裂かれる。
その痛みに耐えられるように出来ているのだから釘一本を踏んでも何とも思わないって聞いたことが有る。
画鋲一本が刺さっただけで失神するようなら出産にはとても耐えられない。 うまく作られてるな。
俺は壁に目をやりながら尚子の尻を見た。 「何処見てるのよ? エッチ。」
「ごめんごめん。 見えたからつい、、、。」 「見たかったら見たいって言ってくださいよ。 びっくりするでしょう?」
「でも、、、。」 まあね、床に座っている俺が目をやったらそこに尚子が立っていたんだ。
グッドタイミングでスカートの中を覗いてしまった。 「やりたくなるでしょう? 高木さんだから許せるけど、、、。」
なんか今日の尚子は頬を膨らませてばっかりだなあ。 腹の虫も居所が悪そうだ。
「私、生理が来ると機嫌悪いから気を付けてくださいね。」 「生理か、、、。」
「何か文句でも?」 「無いよ無い。」
一瞬張り詰めた空気の中で尚子は椅子に座った。 「覗かないでくださいね。」
「分かった。 分かったよ。」 「残念ですか?」
「いや、それは、、、。」 そうとは言えないよなあ。
また怒らせると何が出てくるか分からない。 俺はテレビに目をやった。
支払いを済ませた尚子は大きな袋を抱えて店から出てきた。 「お待たせしました。」
「食事にでも行こうか。」 「そうですねえ。 お腹も空いちゃったし、、、。」
取り敢えずモールを出て、入れそうな店を探す。 この辺りには中華の店も有る。
本場の中国人がやっているらしい。 でも俺はどうも気に入らなくて隣のうどん屋に入っていった。
「麺もいいなあ。 会社の昼はいつも麺なんだけど、、、。」 「うーん、うどんもたまにはいいかな。」
メニューを見ると大盛も揃えてあるらしい。 でもそれはさすがに、、、。
ということで二人揃って月見うどんとおにぎりのセットを頼むことにした。
演歌が静かに流れている。 なんか落ち着く店だ。
(俺も年を取ったなあ。) その隣で尚子も同じことを考えていたらしい。
学生の頃はチェッカーズに憧れて、チェックの服を着込んでいた。 そして似合わないのに藤井文也の真似をした。
「似合わないからやめてくれ。」 周りの連中にはいつも冷たく笑われてたよ。 それでも突っ張ってたっけ。
そうそう、the alfeeが売れた時にはギターも買ってもらった。 あそこまで上手くはならなかったけど。
あの時代はとにかく突っ張って突っ走ってたんだ。 懐かしいもんだね。
うどんを啜りながらおにぎりを齧る。 沢庵も久しぶりだよな。
「高木さんって若い頃はどうだったんですか?」 「どうって?」
「私は聖子ちゃんカットが憧れで、いつも真似してました。 みんなには可愛くないからやめろって言われてましたけどね。」 「みんな、同じようなことをしてたんだね。 俺が好きだった人もそうだった。」
「そうなんだ。 私なんてコンサートをおねだりして年に一回は行かせてもらったけど、ノルマがうるさくて、、、。」
「俺はライブビデオを買ってもらうのがやっとだったなあ。 一度でいいから生で聞きたかった。」
そうだよね。 ちょうどバブル景気が絶好調の時だ。
土地が面白いように売れて、ゴルフの会員権なんてやつにも高値が付いた時代だ。 今じゃあ考えられないな。
でもさあ、90年代に入ると会員券は紙屑になってしまった。
土地もマンションも大暴落して株長者も居なくなった。 とんでもない時代だった。
潰れないはずの銀行や証券会社が倒産して売り払われたんだもんな。
地元でも山一證券の倒産は大激震だった。
30年掛かってやっと景気が戻ってきたんだ。 そこでの事件、、、。
立ち直りを掛けていた会社はどうなるんだろう?
「湿っぽい顔をしてると疫病神が喜んで引っ付いてきますよ。」 「そうだね。」
尚子はおにぎりを食べながらカウンターを見た。 何処かで見たような男が座っている。
「出ましょうか。」 残っていたおにぎりを頬張ると尚子は席を立った。
店を出る時に男の横顔が覗いたが、、、岡島純也だ。
(あいつ、女子社員にぶら下がってうるさいからって解雇されたやつじゃないか。 この辺に居たんだな。)
岡島は確かに優秀な社員だった。 営業部でもトップクラスでいつも社長から褒められていた。
でもそれだったから有頂天になってしまって見掛けた女性社員には次々と声を掛けていたんだ。
いつか、それは社内の噂になり、社長からも呼び出されて何度も忠告された。
それを聞かなかったあいつは取締役からも目を付けられて解雇されたんだ。
その後はどうしているのか分からない。 聞くことも無いだろう。
店を出た尚子は俺にくっ付いて歩いている。 「あの人ね、私には声を掛けなかったのよ。」
「何で?」 「さあねえ、社長の女だって思われてたみたい。」 「社長の女?」
「柳田さんにそう言ったって聞いたわよ。」 「そう思われても無理は無いよ。 社長は尚子ちゃんみたいな女が好きだったからね。」
「そうなの? 嫌だなあ。 あんなのに好かれたくはないわよ。」 彼女は思い切り空き缶を蹴飛ばした。
「でも今だったら何て言うだろうなあ?」 「さあねえ、もてない女だって笑ってるんじゃないの?」
昼下がり、駅前通りに出てきた俺たちはいつものようにタクシーを拾った。
「今日も高木さんの家でのんびりしたいなあ。」 「いいけど、部屋のほうは大丈夫なの?」
「うん。 ご飯も炊いてないし、何もしてないから。」 「そうか。」
部屋の中は荒れ放題。 脱いだ靴下やらシャツが転がっている。 「中年男性の一人暮らしはこれだからなあ、、、。」
苦笑しながら尚子がそれらを拾い集めていく。 拾ってしまうと洗濯機に放り込んで洗剤を入れた。
「なかなかやるねえ。」 「女ですから。」
「ぐ、、、。」 「あら、言っちゃいけなかったかな?」
「俺だからいいけど、他のやつなら張り倒されてるかもよ。」 「高木さんになら張り倒されてもいいわ。」
「えええええええ? 何それ?」 「私ねえ、すごくmみたいなの。 虐められたいのよ。」
「どういうこと?」 「そうねえ、エ、ッ、チの時も思いっきり攻められたいなって思っちゃったのよ。」
「変なの。」 「高木さんはどちらかというと、、、ドがいっぱい付いてるsよねえ? 攻めたいほうでしょう?」
「それは分かんないよ 自分じゃ。」 「奥さんももっと攻められたかったんじゃないのかなあ? 痺れるくらいにね。」
「そんなに攻めたら、、、。」 「大丈夫。 女って意外と平気なのよ。」
そうかもしれない。 出産する時、恥骨は離れて開き、骨盤の筋肉も引き裂かれる。
その痛みに耐えられるように出来ているのだから釘一本を踏んでも何とも思わないって聞いたことが有る。
画鋲一本が刺さっただけで失神するようなら出産にはとても耐えられない。 うまく作られてるな。
俺は壁に目をやりながら尚子の尻を見た。 「何処見てるのよ? エッチ。」
「ごめんごめん。 見えたからつい、、、。」 「見たかったら見たいって言ってくださいよ。 びっくりするでしょう?」
「でも、、、。」 まあね、床に座っている俺が目をやったらそこに尚子が立っていたんだ。
グッドタイミングでスカートの中を覗いてしまった。 「やりたくなるでしょう? 高木さんだから許せるけど、、、。」
なんか今日の尚子は頬を膨らませてばっかりだなあ。 腹の虫も居所が悪そうだ。
「私、生理が来ると機嫌悪いから気を付けてくださいね。」 「生理か、、、。」
「何か文句でも?」 「無いよ無い。」
一瞬張り詰めた空気の中で尚子は椅子に座った。 「覗かないでくださいね。」
「分かった。 分かったよ。」 「残念ですか?」
「いや、それは、、、。」 そうとは言えないよなあ。
また怒らせると何が出てくるか分からない。 俺はテレビに目をやった。