二人でお酒を飲みたいね。
 康子と結婚したのは30を過ぎてからだった。 親父さんが死ぬまではデートするのも大変だった。
 康子が友達との用事を作る。 そのついでに俺と会っていたのだ。
そして親父さんには何か必ずお土産を買っていくんだ。 「たまにはね、嫌だなってことも有るわよ。 でも何か買っとかないと後でうるさいの。」
 会うたびに康子はこうぼやいていた。

 それが、親父さんが死んでしまうと部屋にも入れてくれるようになり、そして同棲し始めた。
会社の飲み会に康子を連れて行った時、社長の田村達夫は「おー、お似合いじゃないか。 同棲するのも大変だろう。 一軒家を探してやるよ。」って言ったんだ。
 結婚して間もなく、康子のお母さんが死んでしまった。 その頃、妹はまだまだ30を過ぎたばかりだった。
 親父さんが病気で入院してしまうと二人はアパートを借りたんだ。 その部屋に俺も行ったことが有る。
二人が交代で食事を作ってるんだって言ってたな。 二人とも長髪で香水を付けていた。
 康子が俺と結婚してしまうと妹のほうは俺と会わなくなった。 以来、何処で何をしているのか知らなかった。
まあ、それでも康子とは連絡を取り合っていたようだね。 姉妹なんだからそうだろう。
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