麻衣ロード、そのイカレた軌跡⓽最終話/魂の交尾
ファーストレジェンド~また猛る季節まで/その1
祥子


南玉連合の会議が終わり、私は門前中通りの喫茶レオに静美と立ち寄った

店の公衆電話から、麻衣へ”一報”をまず入れたんだが、ヤツの反応が妙におかしかったわ

...


「…おお、ドッグスも私も出戻りオッケーなのか!祥子、はは、また一緒だね。がんばろうね。いやあ、嬉しいわ。早速、みんなに知らせなきゃ。ふう…、ホッとしたわ、ホント。ああ、静美にもご苦労さんと伝えておいて。今日はありがとうね、祥子」

なんか、調子狂っちゃったわ

でも、アイツ…、子供みたに喜んでたよ

そんで、”あの”麻衣の怪しい健気さが実に何ともなんで、私まで嬉しくなっちゃってね(苦笑)

...


「そうですか、麻衣さん、そんなに喜んで…」

「はは…、まるでガキみたいにはしゃいでた。変な野郎だよな、麻衣って女は」

「しかし、一時はどうなるかと思いましたよ。南玉のみんなに会場から追い出されるんじゃないかって…。ちょっと恐かったです」

「ああ…。マジに、キレてたな、やっこさんら(苦笑)…」

「あのう、祥子さん…。今日はドッグスを代表してせっかく連れてもらったのに…。私、何もできなくてすんませんでした。それどころか、取り乱したりしちゃって、完全足手まといでした…」

ハハハ…、静美め、下向いちゃってるわ


...


「静美…、合田がお前に言った言葉は全部本心だと思うぜ。赤い狂犬か…。なんとも器がでっかい。そんでもって、日々成長する柔軟さって言うか、ポテンシャルの底知れなさを感じるよ、合田には。あの人、たぶん、今回の一連の出来事でふた皮は剥けたんだろうな」

これはお世辞でも何でもなさ

何しろこれまでの私の捉えていた合田荒子像は、まさに前途見境ない狂犬女だったからな…

「もちろん、どんな時も自分のアタマで考え、感性をピカピカにしながら、何事にも正面から逃げなかったからこそだろうが…。あれだけの固定イメージができ上がってる人間にはさ、なかなかできるものではないよな。しかも、都県境を実質背負ってる立場なのに…」

「はい…。立派な人です」

新村静美は素直で一途だ

私はこの可愛いいっこ下の同級生を、今後、片腕にして南玉の中核に育てていくつもりだ

まあドッグスには、いずれは久美が戻るだろうから、その辺の想定も頭に入れながらだが…(苦笑)






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