溶けた恋
13
仲間同士でうるさく騒いでいると、くるんと内巻きに巻いたボブがキュートな、那倉レイラがトー横に颯爽と現れキョロキョロ見渡したあと、こちらのキッズ達に近付いてきた。
数名の男子達が興奮気味にレイラに熱視線を送るが、それを軽く交わすと、冬子の目の前で立ち止まった。
隣にいた女子が驚いて「え、めっちゃ可愛い…!」と思わずこぼした。
レイラの威圧的な挙動で全てを察した冬子は、斜め下に目線を落としぼそぼそと呟いた。
「梓馬さんとは、そんなんじゃありませんから。別に付き合ってるとかでもないので、どうぞお好きなようにしてください。」
どうせ店で飲んで酔った勢いで来たんでしょ。いいよな。自由もお金も、美貌もあって。
冬子は卑屈になり口を尖らせる。
「え?めっちゃ面白いんですけど!アタシ何も言ってないのに〜。トー横キッズのトーコちゃんが、最近TikTokでよく出てるからさ、可愛いなぁって思って、会いに来たんだよ♡この前もlibertaで会ったしね。アタシ、顔覚えるの得意なの♡」
レイラの言ってる事が一発で建前だと分かるのは、ママや親戚に鍛えられたからだろうか…。
「梓馬ね〜、今日だけでかなり売り上げてるよ!アタシもかなり貢献したし。可愛いお客さんとか、めっちゃ多かったよ〜。」
「どうせ、私まだ未成年なので貢献とかできないんで。。頑張ったら良いんじゃないですか?」
冬子なりに正論で諭したつもりが、何故かレイラの怒りに火をつけた。
「なにそれ?私は余裕とか思ってるの?どーせパパ活とかやって金あるんでしょ?梓馬好きなら店行って金遣いなよ!」
やはりレイラは酒が入っているらしく感情的になりながら冬子に食って掛かった。
「ちょっと、お姉さんみっともないからやめれば?」
低く透き通った声でレイラに一喝したのは、トー横界隈に中学生から通っている、中心的人物の夏樹だった。
まだ17歳だが、身長は180近くあり大人でも一度身構えてしまう、キッズ達にとっては心強い存在だった。
「えー、イケメンじゃん♡まだ子どもなの?お姉さんが色々教えてあげたい♡」
「まだ子どもだけど、色々経験豊富だよ?教えてくれてもいいけど。試してみる?」
と言い、3本指をレイラの前に差し出した。
「これでどうかな?」
レイラに近寄り、高い腰をぐっと曲げ、レイラの顔を覗き込んだ。
レイラは夏樹の切れ長で美しい瞳に、一旦目を奪われ首を縦に振ってしまいそうになるのを堪えた。
「ちょっと、大人をからかわないでよね!」と吐き捨て、キッズ達から向けられる白い目線を振り切り、足早にその場を立ち去った。
「トーコ、やった、オレの勝ち!」
夏樹は冬子を振り返り、イタズラにニヤリと微笑んだ。
仲間達と少し離れたところで、コーラを飲みながら夏樹は尋ねた。
「トーコ、大丈夫?最近なんか元気ないじゃん。」
「まぁね、、久々に家帰ってもみんな無視だしさ、私のせいでママが体調崩したり、おまけに好きピも構ってくれないんだよね」
「好きピって、エイトビートの梓馬さんでしょ?トーコが沼ってるって噂になってるよ、、あんな人、辛いことばっかだと思うし、やめとけば?」
「うーん、心配ありがとー。でも大丈夫。私が好きなだけだから!何か安心できるんだ」
冬子は梓馬を思い出しながら微笑んだ。
冬子の儚い微笑みに、夏樹は胸が締付けられた。
「そっか、何か心配だけど!いつでも相談とか乗るからね!」
夏樹は、ツインテールで露出している冬子の耳にそっとキスすると、仲間の方へ立ち去って行った。
数名の男子達が興奮気味にレイラに熱視線を送るが、それを軽く交わすと、冬子の目の前で立ち止まった。
隣にいた女子が驚いて「え、めっちゃ可愛い…!」と思わずこぼした。
レイラの威圧的な挙動で全てを察した冬子は、斜め下に目線を落としぼそぼそと呟いた。
「梓馬さんとは、そんなんじゃありませんから。別に付き合ってるとかでもないので、どうぞお好きなようにしてください。」
どうせ店で飲んで酔った勢いで来たんでしょ。いいよな。自由もお金も、美貌もあって。
冬子は卑屈になり口を尖らせる。
「え?めっちゃ面白いんですけど!アタシ何も言ってないのに〜。トー横キッズのトーコちゃんが、最近TikTokでよく出てるからさ、可愛いなぁって思って、会いに来たんだよ♡この前もlibertaで会ったしね。アタシ、顔覚えるの得意なの♡」
レイラの言ってる事が一発で建前だと分かるのは、ママや親戚に鍛えられたからだろうか…。
「梓馬ね〜、今日だけでかなり売り上げてるよ!アタシもかなり貢献したし。可愛いお客さんとか、めっちゃ多かったよ〜。」
「どうせ、私まだ未成年なので貢献とかできないんで。。頑張ったら良いんじゃないですか?」
冬子なりに正論で諭したつもりが、何故かレイラの怒りに火をつけた。
「なにそれ?私は余裕とか思ってるの?どーせパパ活とかやって金あるんでしょ?梓馬好きなら店行って金遣いなよ!」
やはりレイラは酒が入っているらしく感情的になりながら冬子に食って掛かった。
「ちょっと、お姉さんみっともないからやめれば?」
低く透き通った声でレイラに一喝したのは、トー横界隈に中学生から通っている、中心的人物の夏樹だった。
まだ17歳だが、身長は180近くあり大人でも一度身構えてしまう、キッズ達にとっては心強い存在だった。
「えー、イケメンじゃん♡まだ子どもなの?お姉さんが色々教えてあげたい♡」
「まだ子どもだけど、色々経験豊富だよ?教えてくれてもいいけど。試してみる?」
と言い、3本指をレイラの前に差し出した。
「これでどうかな?」
レイラに近寄り、高い腰をぐっと曲げ、レイラの顔を覗き込んだ。
レイラは夏樹の切れ長で美しい瞳に、一旦目を奪われ首を縦に振ってしまいそうになるのを堪えた。
「ちょっと、大人をからかわないでよね!」と吐き捨て、キッズ達から向けられる白い目線を振り切り、足早にその場を立ち去った。
「トーコ、やった、オレの勝ち!」
夏樹は冬子を振り返り、イタズラにニヤリと微笑んだ。
仲間達と少し離れたところで、コーラを飲みながら夏樹は尋ねた。
「トーコ、大丈夫?最近なんか元気ないじゃん。」
「まぁね、、久々に家帰ってもみんな無視だしさ、私のせいでママが体調崩したり、おまけに好きピも構ってくれないんだよね」
「好きピって、エイトビートの梓馬さんでしょ?トーコが沼ってるって噂になってるよ、、あんな人、辛いことばっかだと思うし、やめとけば?」
「うーん、心配ありがとー。でも大丈夫。私が好きなだけだから!何か安心できるんだ」
冬子は梓馬を思い出しながら微笑んだ。
冬子の儚い微笑みに、夏樹は胸が締付けられた。
「そっか、何か心配だけど!いつでも相談とか乗るからね!」
夏樹は、ツインテールで露出している冬子の耳にそっとキスすると、仲間の方へ立ち去って行った。