溶けた恋

26

「企画、、邪魔しちゃってごめんね。みんなに迷惑かかったよね?」

羽田空港直結のビジネスホテルでカップラーメンをすすりながら、冬子は申し訳無さそうに謝った。

「気にせんとよかよ。どうせあいつら突然のオフで遊び回っとるけん、たまの休暇も必要や。」

「オレも、まさか冬子にこんな早く会えるとはおもっちょらんかった。なんでやろうね、、何か冬子が悲しそうにしとぅけん、ほっとけんかった。」


梓馬は冬子を見つめ、横髪を撫でた。

「こんな可愛い冬子を苛めるなんて、、ゆるせん。そいつらの顔写真合成してアダルト動画でも作って拡散したろーかな。。」


梓馬は真剣な目つきで、楽しそうに話す。
さすがユーチューバーだ…。

「まあ、冗談だけど。

そんなコンプレックスの塊みたいな奴ら、相手にする必要なかとよ?

冬子の学校、保健室登校とかあるん?そーゆう制度はどんどん利用してやってけんのか?」


冬子は突然真面目にアドバイスされ、意表をくらった。

「そんなの行ったら、クラスの笑いものだよ。。もう落ちこぼれですって宣言してるようなもんだし。そこからどんどん淘汰されて、皆居なくなるって決まってる」


冬子が口を尖らせながら答えると、梓馬は

「いやいや、オマエもう落ちこぼれとぅけん、気にする必要なくね??」




冬子は梓馬のストレートな物言いに言葉を失った。
梓馬はそんな冬子の様子なんて気にせず、間髪入れず続ける。


「いや、成績の問題ではなく、家出して不登校気味なんて落ちこぼれやろ。
そんなとこでプライド持ってたら一生同じ事で悩み続けるよ?やめなよ。」


「オレも学校とか行かないで留年したけどね、保健室登校もしたし、慣れたら教室行ったり、色々彷徨っとぅね。そのうち皆オレの事
そういう奴 として割り切って見てくれるようになるっちゃあね、そうなったらもう、何でもありよ。」


「あ、梓馬さん、、私の事、よしよしと慰めてはくれないの…??」




冬子は梓馬を潤んだ瞳で見つめるが、

「そんな事やるわけないやろ。オレは冬子の事好きやけん、為になる事しか言わん。」


と、バッサリ切り捨てられた。



そ、そんなぁぁ。

「梓馬さんの馬鹿〜!ク、クロミちゃんのぬいぐるみ返してよぉ〜!」


冬子は涙をポロポロ流し、梓馬に訴えた。

「ダメ。アレは、オレがタイで相棒にするって決めたけん、誰にも渡さんよ」

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