再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「ごめんなさい」
あのとき、もしかしたら刺されていたかもしれない。そう思った途端に恐怖で体が震えた。
それに、加賀美さんをここまで不安にさせてしまったことへの申し訳ない気持ち。いろんな感情がぐちゃぐちゃに混ざり合って一気に押し寄せてきた。
くるんと体の向きを変えられて加賀美さんと向き合う体勢になる。今度は前からぎゅっと抱き締められた。
「自分の職業的にこんなことを言うのはどうなんだろうって思うけど……」
いったん言葉を止めた加賀美さんが私を抱き締める腕の力を緩めて、私の顔をそっと覗き込んだ。
「バッグを盗られてもそこまで強く悲しむ人はいない。その中に入っている財布も同じ。お金を盗られるのはショックだろうけど、それだってどうとでもなる。でも命は違う。取られてしまったらもう二度と戻ってこないんだ」
「……はい」
「千晶ちゃんの正義感は立派だよ。でもまずは自分の身を守ろう。犯人を捕まえることよりも、千晶ちゃんにはみんなと同じように逃げて欲しかった」
加賀美さんの言いたいことはよくわかる。
命よりも大切なものはない。代わりなんてないのだと、私に伝えたいのだろう。