再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


午後九時。

及川の待つ居酒屋に到着。

掘りごたつの個室だ。

とりあえず生ビールを注文し、及川が適当に食べ物を注文した。

それらがテーブルに届き、ジョッキを持った及川が「お疲れさまです」と、俺のジョッキに自身のそれをぶつけて乾杯をした。そのあとでおもむろに口を開く。


「加賀美先輩。千晶ちゃんって誰に尾行されているんですか」


突然飛び出てきた恋人の名前に片方の眉がぴくりと上がる。及川の話というのはどうやら千晶ちゃんのことらしい。

及川はビールの入ったジョッキを静かにテーブルに置いた。


「言い方間違えました。〝誰〟じゃなくて〝どんなやつら〟って言った方がいいのかな。千晶ちゃんのあとをつけているのってひとりじゃないですよね」


及川には千晶ちゃんが見知らぬ男にあとをつけられていたことを話してある。彼女が俺の自宅に住んでいると及川に知られたとき、その理由として伝えたのだ。

でも、〝複数人〟に付け回されていることまでは話していなかった。それなのに及川は気付いたらしい。


「どうしてそう思った?」


ジョッキをテーブルに置き、及川に視線を送る。


「この前、仕事終わりの千晶ちゃんと乗る電車が一緒だったんです。少し離れているところに立っていたから電車を降りてから声かけようと思って見ていたら、俺の他にも千晶ちゃんを見ている男がふたりいることに気付いて」

「そいつらの特徴は?」


< 109 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop