再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「ふたりともスーツを着ていました。ひとりは眼鏡をかけていて、もうひとりは太ってましたね。年齢はどちらも三十代か四十代ぐらいかな」
カフェレストランで千晶ちゃんを見ていた男と、彼女のマンションで待ち伏せしていた男の特徴と一致している。
及川が枝豆を食べながら続きを話す。
「駅で電車を降りてからも男たちは千晶ちゃんを尾行していました。千晶ちゃんは気付いてなかったけど。で、俺は千晶ちゃんを尾行する男ふたりをしばらく尾行してみたんです」
「それで?」
「眼鏡の方がスマホでどこかに連絡を取っていました。なにを話しているのかまでは聞こえなかったけど、様子からして電話で千晶ちゃんの行動を逐一どこかに報告しているような感じでしたね」
「報告?」
いったいどこへ?
千晶ちゃんを尾行している男たちに組織的な匂いがして胸騒ぎがする。
「千晶ちゃんにあとをつけられていたことを話したか」
「いえ、気付いてないっぽかったんで、こわがらせるのもかわいそうだから言いませんでした」
及川はそう答えると、焼き鳥をがぶっとかじった。
「そうか。ありがとう」
知らないならその方がいい。及川の言う通り千晶ちゃんをこわがらせることはしたくないから。