再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
俺が常に千晶ちゃんのそばにいられたらいいがそういうわけにもいかない。ひとりで過ごす時間の方が断然多い。
千晶ちゃんはあれ以来誰にもあとをつけられていないと話していた。でも及川の話を聞く限りだと気付いていなかったのだろう。
確かに、こっそりと尾行されて気付けることの方が稀だと思う。
「ストーカーよりも厄介なにおいがぷんぷんしますよね。千晶ちゃん、なにかの事件に巻き込まれていないといいけど」
ビールを飲みほした及川がタッチパネルで二杯目を注文する。
「先輩も次なにか飲みますか」
「いや、俺はまだこれが残ってるから」
ジョッキにはビールが半分以上も残っている。最初に口をつけてから一口も飲んでいなかった。
「心配ですよね、千晶ちゃんのこと」
「まぁな」
及川の言葉に頷いた。
「手がかりが少なすぎて彼女のあとをつけているやつらの正体を特定するのが難しい」
「ですよね。俺も力になりますんで」
「さんきゅ」
軽く笑顔を作り、半分以上ビールが残っているジョッキに口をつけた。