再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
俺が彼女に抱いた第一印象は強い女の子。
母親が家を出ていくという辛い経験をしたにもかかわらず、それを乗り越えて気丈に振る舞う彼女に惹かれた。
その日をきっかけに佐波さんが自宅に誘ってくれるようになり、佐波さんとお酒を交わしながら千晶ちゃんの手料理をご馳走になることが増えた。
お酒を飲まずに食事だけを頂いた日は、まだ高校生の千晶ちゃんに勉強を教えたり、進学先に悩んでいるというのでアドバイスをしたりするなど相談に乗っていた。
『加賀美さんに話すとなんでもすぐに解決できちゃう気がするんです』
屈託のない笑顔でそう言われるたびにくすぐったい気持ちになり、千晶ちゃんに頼られているのだと思うとうれしかった。
もっと俺を頼ってほしい。彼女の力になりたい。
いつの間にか俺は、尊敬する佐波さんと話すことよりも千晶ちゃんに会いたくて佐波さんの自宅に伺うようになっていたのだと思う。
そんな日々が六年ほど続いたある日。俺に異動の内示が出て北海道警察本部への出向が決まった。
これまでも異動はあったが今までで一番の遠い距離。真っ先に思い浮かんだのは千晶ちゃんだった。
北海道に行ってしまえば今までのように頻繁には彼女に会えなくなる。そう思ったとき初めて俺は千晶ちゃんへの恋心を自覚した。
だからといって想いを伝えることもできず、北海道へと旅立った。