再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


昨夜は俺のペースに合わせてだいぶ無理をさせてしまった自覚がある。ぐっすりと眠る彼女を起こすのはかわいそうだと思いつつ、どうしても触れたくなって千晶ちゃんの柔らかな髪に指を通した。

千晶ちゃんが俺の家で暮らすようになって一ヶ月が過ぎようとしている。

初めの頃は寝る場所を別にしていたが恋人になった今は同じベッドで眠っている。

目が覚めて隣に眠る千晶ちゃんの寝顔を見つめるこの時間が俺にとってはたまらなく平和で幸せな時間だ。

誰にも奪われたくないし、奪われないように千晶ちゃんのことは必ず守ると誓っている。

それでもあの日、目の前で彼女を失いそうになった。

先週、お互いの休みが重なり映画を観ようと訪れた商業施設で窃盗事件に出くわした。

仕事の電話が入り通話を終えて戻ると、なにやら周囲がざわついていることに気が付いた。

なにかから逃げるように走ってきた買い物客たち数人が『泥棒』と呟いているのが聞こえて、大体の状況を理解。彼らが逃げて来た方向に向かって急いで走った。

するとそこで目にしたのは逃走する犯人らしき男に向かって自分のショルダーバッグを投げようとしている千晶ちゃんの姿。

他の買い物客たちのように逃げることはせず、犯人を捕まえようとしている彼女にひどく焦った。

頼むから逃げてくれ……!


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