再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
報告とおめでた
***
五月も下旬になると日中の最高気温は二十度を超えるようになり、温かく感じる日が増えた。
寒がりの私だけど日中は汗ばむ日が増えたので薄手の服に変えている。
今日の服装はダークグレーの長袖カットソーにくすんだ緑色のロングスカートを合わせて、足元はスニーカー。セミロングの黒髪はハーフアップにまとめてきた。
「――千晶」
車の運転席でハンドルを握る加賀美さん……ではなくて英介さんに名前を呼ばれて振り返る。
「佐波さん、無事に退院できてよかったな」
「うん。久しぶりに自宅に帰れるからお父さんうれしそうだった」
「だろうな」
私の言葉に軽く微笑む英介さん。
私たちは今、父が入院中の病院に向かっている。
父は少し前に無事に手術を終えた。内視鏡を使った手術で問題のあった個所を取り除くことに成功。経過も良好とのことで今日退院を迎えたのだ。
土曜日で仕事が休みの私がひとりで父を迎えにいこうと思ったが、同じく今日が休みの英介さんが車を出して一緒に付いてきてくれることになった。父を自宅まで送ってくれるそうだ。
四月の頭に入院して約二ヶ月の病院生活。
最初は病気を受け入れられずに落ち込んでいた父も手術をすると決めてからは、しっかりと治すために病気に立ち向かうようになった。